8番出口 ゲームレビュー
いろんな方面からよく名前を聞いていた話題のゲーム8番出口を購入してやってみたところ…
とても面白い!
地下鉄の通路を進む中で異変が無ければ通路を進み、あったら引き返す。その判断が合っていれば通路に設置された出口までの案内板の番号が上がり、間違っていれば番号は0にまで戻される。8回連続で異変探しに正解すると案内番号8に到達し、何も違和感のない状況から進めば最後の出口に辿り着く(異変があって引き返したら案内番号8からのループ)。 至ってシンプルなルールながら雰囲気がとてもいい。Switch版をプレイしてますが地下鉄の通路や壁の質感描写がとても良く、硬くひんやりとして冷たい感じや照明の反射がリアルに描写されています。その地下鉄通路を歩く主人公(プレイヤー)の革靴の響く音も相まって、硬く冷たく暗い閉ざされたゲーム空間が強調されます。 メイン通路には壁に掲示された複数のポスター、ドア、通気口などの無数の情報が通路を彩る。そして通路の対面からこちらに向かって歩いてくるサラリーマン風の中年男性。これらの情報の中から異変を探し出す。
おじさん、おっちゃんなどと呼ばれてるみたい!
その探し出す異変の種類というか雰囲気がまるで異世界からの監視、滲み出る異世界といった印象を持つものばかりで感触はちょっとしたホラー。そして異変のない通路だけを選んで進めばゴールというのも分かりやすいゲームルールです。 多くの異変は主人公に害を及ぼすものではありませんが、中には緊急を要するものもあり気が抜けません。このゲームにはゲームオーバーはありませんが、対応を間違えたらゲームオーバーを思わせるように画面が暗転、しばらく経ったら0番に戻される異変もあります。 案内番号を曲がりメイン通路を一望したらすぐにおじさんが反対側から現れてこちらに近づいてくる。漲る緊張感…
堪りません!
主人公以外の唯一の通行人おじさん。このおじさんにも異変が仕込まれているので登場から近接まで目が離せない。何食わぬ顔して通り過ぎるのがほとんどながらたまに見せる異変がなんだか怖い。このおじさんは間違っても味方じゃない。
ここで特別企画【クローズアップ 8番出口のおじさん】をお届けします!
いつまでも あると思うな 親と髪!
この8番出口というゲームは間違い探しの進化形、新しいゲームジャンルの開拓をしたような気がするのですが。 異変を見つけるのと間違い探しは似て異なる、もしくは異なるけど似てるような。 この8番出口は
- リアルな3次元空間で(≠イラストまたは絵)
- 動きのある(≠静的なイラスト)
- 自分が見知っている常識世界と比較する(≠2枚のイラストの比較)
という切り出し方をしています。昔ながらの間違い探しを現代の技術で作ったらこういうのができました的な。そこに加えて不気味なムード漂う空間演出によりプレイヤーはゲームに没入していく…よくできてますね。しかし作者のインタビュー記事を拝読するとゲームとしても見つけるのは「間違い」ではなく「異変」とのことなので、間違い探しではないようです。 異変は覚えてしまえば以降は簡単に確認することができます。タイプとしてはアドベンチャーゲームなのかなとも思いましたが、謎解きの順番などの要素はありません。異変は起きる or 起きない 起きる→ランダム と順番は無関係です。 異変が無かった場合でも絶対に異変がない!とも断定しきれない自分のメンタルとの戦いが熱い。
- 異変はない…と思う…が
- ないとは思うがもう一度確認→やっぱりない
疑心暗鬼で恐る恐る進んで曲がった先の番号が繰り上がればほっと安堵し、0番だったらウソーと落胆する。 この自分を信じれる or 信じ切れない要素が一段とゲームを面白くしています。 やっぱりこの8番出口は新しいジャンルのゲームではないでしょうか。こういった新しい発想のゲームは大手のゲームメーカーからは絶対に出てこないと思います。 無事に8番出口にたどり着いて地上に出た時の演出が、シンプルながらほっと安堵する気持ちにさせてくれます。
とても秀逸です!
レビュー番外 8番出口的な画像
このゲームによく似た地下鉄の風景を以前に撮っていたので置いておきます。広い駅のホームは蛍光灯も明るく開けた広い空間なのですが、ほぼ無人だと不気味な印象を抱かせてくれます。電気も通い、清掃も行き届き、あらゆる人工機器は正常に動作しており、それらを管理する人間とサービスを利用する人間がいるはずなのに…
ほぼ誰もいない!
ベンチに座る誰かが気になる!
いや普通に電車待ちの人…だろ?