タイトー
発表年:1983年
どんなゲーム?
- 縦スクロールの陸戦ゲーム
- 銃と手榴弾、時には戦車や装甲車を駆使
- 単身で敵陣深く攻め込み、敵の司令部を破壊
目次
フロントライン ゲームレビュー
原文(旧レビュー原文)
兵士を操り機銃と手榴弾、時には戦車に乗って敵陣に乗り込むアクションゲーム。その後の戦争アクションゲームの基礎を作ったゲームです。操作レバーも特殊なもので、ダイアル式になっていて移動はレバーを倒した方向へ攻撃はダイアルの方向へと向くようになっていてこのアイデアが操作するという点で一段深いゲーム性をもたらしています。自機である兵隊の動きが妙に頼り無いもので(ヘロヘロしている)、変に愛着が沸くように必死で操作してました。戦争だというのにそこはかとなくのどかな雰囲気が漂うのもこのゲームの徳でしょうか?未だにあればプレイしたい名作ゲーム。
実験的なダイヤルレバーを用いた戦争アクション
戦場で繰り広げられる陰惨な戦況。血が流れ悲しみで引き裂かれ生きるための戦いを強いられる…。そういうシリアスさとは無縁のおとぼけ戦場ゲーム。
そんな事言ったら作者さんから怒られるぞ!
陸戦戦争ゲームの走りです。最初期の陸戦ゲームでありながら
- 歩兵時のピストルや手榴弾の使い分け
- 装甲車や戦車に搭乗
- 移動方向と射撃方向の個別操作
などの要素が詰め込まれており既にシステムが完成されています。この手の縦スクロール陸戦ゲームはカプコン 戦場の狼、SNK 怒シリーズやTANKなどが後年登場します。しかしこのタイトー フロントラインはそれらの陸戦ゲームの中でもどこか異色です。やはり雰囲気なのでしょうか、なんだか殺し合いをしているようには見えないのです。歩兵は敵も自分もなんかヘロヘロ歩いてるし戦車もなんかコンパクトで適当な形だし。己を鼓舞するようなBGMもないし。でもやり込むとなぜか面白い妙な魅力があるゲームです。
使用できる兵装など
- 歩兵の操作は8方向レバーで移動
- 銃、手榴弾で攻撃。無限使用可。弾切れなし
- 銃の射程範囲は短く水平発射ですので障害物は越えることができません。
- 手榴弾は放物線を描く軌道ですので障害物の向こうの敵を倒すこともできます。
- 道中に放置されている戦車や装甲車に搭乗できます。
戦車・装甲車
戦車は大型の砲を装備、装甲車は機銃を装備しており戦車よりも高速に移動できます。
どちらも敵の攻撃を一発被弾すると煙を上げます。被弾後しばらくするかもう一発被弾すると爆発しますのでその前に車輌から脱出します。被弾しなくても乗り降りは可能なので、時には車両を降りて敵の攻撃を防ぐトーチカ代わりにしたりします。
攻撃方向ダイヤル
このゲームならではの操作デバイスが攻撃方向ダイヤルです。これは8方向レバーの頭(と言えば良いのか)が平たい多角形のダイヤルとなっており、右回り左回りと回転させることができます。クリック感のあるダイヤルで、回転させていくと45度間隔でカチッと止まり攻撃方向を固定できます。プレイヤーはレバー1本で移動方向と攻撃方向を操作します。例えばレバーを右に倒して右移動をしながら左上の方向に銃や手榴弾を使うことができます。移動をしながらの攻撃方向の変更操作は若干困難です。
敵の種類
敵の種類はプレイヤーと同じ歩兵、装甲車、戦車で、プレイヤーとただの色違いです。それに加えて道に地雷やサイドから転がる岩などが行く手を阻みます。敵を倒しながら進んだスクロールの最後に塀に囲まれた敵の司令部があります。砲台があるところに手榴弾を当てれば面クリアとなります。
フロントライン あれこれ
スクロールバックはできません。前進あるのみ。
BGMはありません。あるのは自分の前進する音だけで、歩兵で徒歩移動時はテコテコテコ…装甲車移動の時はブォー…戦車移動の時はキュラキュラキュラ…。
手榴弾を投げた効果音(ヒュー!)と被弾の効果音(ドッヒャー!?)が結構高いキーでやたら響きます。デモ画面でもこの効果音だけは出力されていて、人気(ひとけ)のない静かなゲーセンでは妙に存在感がありました。
移動レバーと攻撃方向ダイヤルデバイス、設置ゲームセンターによって回す硬さがまちまちで、酷いとかなりゆるゆるのダイヤルもありました。この手の操作デバイスはやはり汎用性、メンテナンス面では不利なのか他のゲームではあまり用いられませんでした。
レトロ戦術のレトロゲーム?
それにしてもこのゲームを今よくよく見てみると
- 単騎で敵陣に乗り込む
- 装備はピストル一丁と手榴弾(連写不可、弾切れなしの特殊兵装)
- 走ることは出来ず歩くのみ
…ってかなりあり得ない状況です。ゲームなんで現実と照らし合わせる意味もないのですが。そして敵の性能も主人公とほぼ同じ仕様。そんな敵と主人公との戦闘はどうしてもゆっくりしたテンポになります。先ほど殺し合いをしているようには見えないと言及しましたが、どうやらこの辺りの影響が大きそうです。はっきり言って緊迫感が皆無。
私はこのゲームをレトロゲームとしてレビューをしています。しかしながらどうでしょう、陸戦のスタイルとして兵士同士が銃や手榴弾でやり合う戦闘自体がもはや現代では考えにくいスタイルなのではないでしょうか。このゲームの陸戦スタイル自体がもはや古典というか。
このゲームが出たのは1983年です。2022年現在で約40年前です。このゲームのモデルが1940年代の第二次世界大戦の陸戦とするとほぼ1世紀前の陸戦スタイルのゲームとなります。
80年前?
それでは現代的な陸戦とはどういうスタイルなのか?私は軍事に詳しくもないのでは分りませんが、素人が漠然と現代的な陸戦がどういうものか想像します。単騎侵入、エリア司令部撃破 が条件ならばどこかのゲームのように敵陣営に気づかれずに司令部まで潜入して破壊(してからの生還)ではないかなと思うも、これじゃ陸戦ではなく潜入破壊活動スタイルですね。
という訳で、このフロントラインというゲームは古典的な陸戦のレトロゲームと言えそうです。
軍事は当代最先端技術がすぐに応用される世界!
インターネットも元は軍事技術だぞ!
ウクライナ戦争のロシア軍的人海戦術
2023.02.19 追記。ロシア連邦が2022年2月24日にウクライナへの軍事侵攻を開始しました。しかし国際社会からの軍事援助を潤沢に受けるウクライナの抵抗にロシア軍は消耗する一方。戦車や銃器などの兵装も十分に与えらない兵士による人海戦術を行っている様を見ていると、このフロントラインのような戦い方は現代でも用いられているのだな、と。
銃と手榴弾が無限に使えて食糧の心配が要らない分こちらの方がまだマシだな!
ロシア軍には同情の余地はないけどな!
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