テクノスジャパン
発表年:1984年
どんなゲーム?
- 大相撲の世界で勝ちを重ねて横綱を目指す
- 格闘技ゲームではなくアクションパターンゲーム?
- 個性溢れる力士達は見ていて飽きない
目次
テクノスジャパン 出世大相撲 旧レビュー原文
正確なタイトルは忘れてしまいましたが、テクノス社の相撲ゲームです。このゲーム、技やテクだのいう前にいかに気合いマークを溜めるかということにかかってくる様なゲームで(断言!)、それによって後の横綱戦で勝てるかが決まってきます(当時の自分の技量では)。覚えてる力士のしこ名はにげの里(山?)と双葉山、要はこの二人しか眼中に無かったということでしょうか?また、スタート時に自分の力士のしこ名を入力できますが、そういった場面で誰もが入れたくなるあの単語(マ◯コ)を入れると行司の人がでかい顔で『まじめにやれ!』と怒られたりしますが(しこ名は『すけべ山』になる)、当時好奇心旺盛だった中学生の自分は『じゃあこの単語にも反応するかな?』とセ◯クスと入力してみたところ、なんと!何のリアクションもありません。当然しこ名は◯ックス山とかになってしまい、いたいけな中学生だった自分はまるで晒しもののようにプレイするハメになったのを昨日のように覚えています。生き恥をさらすハメになったゲームはさすがにこのゲームだけです。
出世大相撲 ゲームレビュー
テクノスジャパン社の出世大相撲。画面の雰囲気や観客の仕草などを見てるとデータイーストの空手道に似ている気もしてきます。空手道も開発はテクノスジャパン社によるものです。
システム
レバー 移動やボタンと方向を組み合わせて技を入力する。
左ボタン ハッキョイボタンと呼ばれ、レバーと組み合わせて技を繰り出したり、まわしを取った・取られた際に出現するゲージ(後述)を連打で溜めたりする。
右ボタン 貯めていた気合いを使う。張り手の威力が上がって相手を遠くまで張り飛ばすことができたり、まわしを取った・取られた際に出現するゲージの貯まる速度を早めたりする。
根性ゲージ・辛抱ゲージ
相手のまわしを取れば根性ゲージで攻め側。
相手にまわしを取られたら辛抱ゲージで受け手側。
共にボタン連打でゲージを満杯にする。
根性ゲージを満杯+レバー方向で投げ技や倒し技を出すことができる。ほぼ勝敗が決まる。
辛抱ゲージを満杯で相手のまわしを掴んだ手を振りほどくことができる。時間内に手を振り解けない場合は相手に技をかけられる。
ゲージが出ている時に気合いを使うと連打でゲージが貯まる速度が早まる。
レバー前で相手に接触でまわしを掴み攻め側に、レバー入力なしで相手に接触されて受け側になる。
ステージ(番付)が進むと前入力でも受け側になるケースが増える。またゲージの貯まりも悪くなっていき(連打速度or回数が増す)、気合を湯水の如く注ぎ込まないとゲージが満杯にならない=強敵という図式。
気合い
消費するとプレイヤー力士の基礎性能が向上する。張り手で相手を突き飛ばす距離が伸び、根性・辛抱ゲージの貯まりが早くなる。使用回数を増やすことができる。上限は30。
増やし方は相手に技をかけて貯まる星を4つ集めて1気合い、または辛抱ゲージ満杯で1気合い増える。
私が気合を貯めた方法は、ゲーム開始して浅いうちにわざと相手にまわしを取られて辛抱ゲージ満杯を何回かすると、相手の身体が真っ赤になって突っ込んできます。その突進をレバー↑or↓でいなすと技をかけた扱いになるので星が入ります。いなされた相手は逆方向からまた突っ込んできますので、それをまたいなします。あとは以下ループ、いなす入力が完全にリズムになります。「おっとっとー」の「お」でレバー入力する、ような感じです。繰り返すことで星が増え気合いも増えていきます。序盤は気合いを上限30まで貯める作業となります。
主観強めの所感いろいろ
相撲のゲームですが所感として格闘技やスポーツといった競技のゲームではありません。一種のパターンゲームです。対戦力士の出てくる順番が決まっているのでやることも決まってきます。やることがだいたい決まってくるともはやそれは繰り返しの作業なのですが、パターンゲームが好きな人種はそこが好きなのです。
場面に応じたパターンを当てはめていくだけで先のステージに進めるようになります。それで楽しいのか?の聞かれればこのゲームは間違いなく楽しかったです。心地良いマンネリズムというか。私が楽しいと感じた点は以下。
- 適度なコミカライズ
- 大相撲の世界を知る
- サービス精神と職人芸
適度なコミカライズ
登場するキャラ達の描写はリアルなシリアス路線ではなく、程良くコミカライズされています。それは描写のみならず力士達の立ち合いの所作などにも反映されており、いつ何度見ても楽しいのです。対戦力士の四股名も風貌やら得意技やらを連想できる名前が多く、その四股名通りの風貌や所作を見るとやはり笑ってしまう以外ありません。
例えば…
にげの谷 いつつ部屋 土俵入りしてからの所作すべてに落ち着きがない。
にたり川 ふたりの部屋 にやけた面構えで、向かい合ったらなぜかウケてよろめく。
がぶリ山 よつすき部屋 立ち会い仕切りでプレイヤー側に被り気味に寄せた後に戻る。
こうしたコミカライズされたキャラは個性もつけやすく、漫画チックな表現もどんどん盛り込めます。そして見ていて楽しいのです。
大相撲の世界を知る
キャラ周りはコミカルですが、ゲームの進行は大相撲の世界通りに進みます(が、一場所は初日、中日、千秋楽の3戦)。行司が呼び出しを行い土俵入りからの塩巻き、仕切り、そして立ち会い。相撲ならではの技。懸賞金がかかる一番では懸賞札が土俵を周り、懸賞金をもらう時には手刀を切る。横綱戦に勝てば座布団が舞う。「ごっつぁんです!」「待ったなし!」などのボイスが随所にしこまれています。大相撲の雰囲気を丁寧に作り込んでいます。
私が好きなボイスは
痛ぇーでごわす!
サービス精神と職人芸
プレイヤーを楽しませようというサービス精神をとても感じます。先ほどの登場力士の四股名や描写などは見ていて楽しく親しみを覚えます。
ゲーム開始時の自分の四股名を入力する時に、中2の病にかかったDUNKな奴らが一度は試すあの単語に反応!DUNKなプレイヤーは相応しい四股名を与えられる、という仕掛けは笑わせてもらいました。私はDUNKを拗らせて残酷な結果を引き起こす羽目に。因果応報、自業自得という言葉を噛み締めながらプレイした記憶は今でも鮮明に覚えています。
BGMやSEもとても高い水準と感じます。四股名を入力する場面のBGMは熟考を促し、土俵入りしてから立ち会いまでの間、各々の力士が集中のための儀式?、見合って「はっけよい!」からは緊迫感溢れるBGM。場面場面の雰囲気を的確に表しています。当時は曲一つに使えるリソースも限られていますので、短いメロディを繰り返し流す前提でBGMが作られます。それで的確な雰囲気表現がなされているのはもはや職人芸の領域。
私がこのゲームで最も職人芸を感じるものは、呼び出しのSEです。あの「ひが〜し〜、〇〇。に〜し〜、××。」のあれ。このゲーム、ボイスSEが随所に仕込まれていますが流石に全員名前の異なる呼び出しはいちいち作れない。そこで職人は呼び出しの音程をそのままメロディに仕上げます。これがまた極めて秀逸で見事に雰囲気が出ています。なんか聞いているとクセになる音程。実際に試行錯誤しながら調整されたことだと思います。まさに至高の職人芸。
今現在のゲーム制作ではメモリなどのリソースの制限は昔ほどキツくはないものかと思います。いかに少ないリソース領域で良い仕事をするか。そこに苦心し頭を使われていたことだと推察します。
まとめ
前の章でも書きましたがこのゲームはパターンゲームであり、やる事も毎回ほぼ同じに固まってきます。また、同じことを繰り返して楽しいのか?パターンゲームが好きな人間はそこが好き、とも書きました。今でこそ考えられないでしょうが、当時はこうしたパターンゲームが主流でした。自力でパターンを発見していく過程が実に面白く、開発者(または開発陣)の意図をある時は汲み取り、またある時は上を行く、ような行動が積み重なりパターンを成していきます。私達オールドゲーマーはパターンを通じてゲーム開発者達と対話をしているような感覚を持ってプレイしていました。
ゲーム開発者達と対話感覚があるのならこの出世!大相撲とはどんな対話だったのでしょうか。
それはもうプレイヤーを楽しませる気満々のゲーム職人さんとの楽しい対話でした。大いに笑わせてもらい楽しませてもらいました。
このゲームはそんな思い入れもあり、半ばゲームを超えてある種の人格さえ感じるゲームです。
広くヒットしたようなゲームではありませんでしたが、私にとっては珠玉のゲームです。
おまけ…思春期の生き恥体験
原文記事にも書いたように思春期だった私はこのゲームでまさに生き恥体験をさせて頂きました。ことの顛末はこうです。
ゲーム開始後、四股名を決める入力画面で女性に関するある単語を入力すると四股名が強制的にすけべ川に変更される仕掛けがある。
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当時はDUNKな少年だった私は思ったのです。あの単語で反応するならこの単語も反応するはずだ!として、ひらがなで入力したのです。せっ○すと…。
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私は期待を込めてゲーム側の反応を待ちましたが、何の反応もありません。???と思いつつもその単語の最後に適当に山とか入力して四股名付けを完了させました(この辺はうろ覚え)。
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結果、問題のない四股名として普通にゲームが開始されます。いやいやいやちょっと待て!いたいけな中学生の私のはずが一転、欲望を隠すどころかむしろ公然と名乗りさえする♥破廉恥少年♥が一人、ゲームに興ずる構図の完成です。
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間の悪いことにたまたま若いお姉さんが二人、私のゲーム画面を見て怪訝そうにヒソヒソと話しています。
あーそーだよ、俺がせっ○す山だよ!
顔から火が出るほど恥ずかしい思い、だからと言って捨てゲーして席を立ちたくもない思い、勝手にゲームに期待して裏切られたような思い…様々な思いがもうグルグル巡りのカオスでした。そのゲームをどう終了したのか覚えていません。とにかく恥ずかしい思いでした。
自業自得感が清々しいエピソードだね!
これはガチで刻み込まれたトラウマ!